ほとんどの国と同様、COVIDパンデミックにより、ベトナムの供血活動も大きく混乱しました。この2部構成のQ&Aシリーズの第2回では、ハノイの国立血液学・輸血研究所(NIHBT)の国立血液センター所長であるTran Ngoc Que 博士が、この困難な時期にNIHBTがどのように血液供給の調整に貢献したかについて説明します。
COVIDパンデミックは、ベトナムにおける供血活動にどのような影響を与えましたか?
パンデミックは、特に初期の段階でベトナムに大きな影響を与えました。当時は、感染者が1例確認されただけでも全国でソーシャルディスタンシングが実施され、旅行やイベントの開催が制限されました。その結果、供血活動にも影響が出ました。
実際、パンデミックが始まるとすぐに、私たちの供血スケジュールのほとんどが延期されました。しかし、供血が患者さんの救命および治療に欠かせない活動であることを理解してもらうため、迅速に対策が講じられました。
コミュニケーションとテレビは相互作用を増やす上で重要な役割を果たしました。VTV1に数秒映るだけで、供血会場はすぐに多くの人でいっぱいになります。テレビは、今でもベトナムの人々に大きな影響力を持っています。
供血者を安全に保つために、どのような取り組みを行いましたか?
以前は供血者イベントの際、多くの人を1か所に集めていましたが、パンデミック中はドナーを小さなグループに分け、供血プロセスの時間を延長して対応しました。また、移動式の供血ポイントに重点を置くのではなく、固定された供血会場を増やすようにしました。
供血会場には、明確な安全プロセスを導入しました。例えば、接触を減らすため、ドナーにはオンラインで登録してもらい、その情報を基に証明書や登録用紙を印刷しました。会場到着後には、ドナーの体温を確認し、適切な問診票を記入してもらい、すべての基準に従って手続きを進めました。
センターの全職員に対しても、予防対策を徹底して実施しました。ワクチン接種が可能になってからは、職員には速やかに接種を受けてもらうよう求めました。職員には週2回のPCR検査を実施し、その際には防護具を着用してもらいました。
2020年と2021年には、これらの予防措置のおかげで、供血者同士、あるいは供血者とスタッフの間でCOVIDに感染した事例はほとんど確認されず、大きな成功を収めることができました。
ソーシャルディスタンシング要件は、供血活動にどのような影響を与えましたか?
南北で社会的距離戦略が適用された最も困難な時期には、人々が路上に出ることができなかったため、すべての供血スケジュールを延期することを検討しましたが、供血が緊急の活動であることを示す努力をしました。私たちは、チェックポイントを通過して供血に参加できるようドナーを支援し、パンデミック対策がうまく機能している州や都市には、献血活動をさらに強化するよう呼びかけました。
南部でソーシャルディスタンシングが実施され、特にホーチミン市で移動制限の影響により血液が不足していることが分かったとき、私たちは北部の通常どおりの地域の人々に南部を支援するための献血を呼びかけました。私たちは、供血者が自分の供血履歴を把握できるようにするアプリケーションを開発しました。多くの人がその結果に大変満足しており、メッセージを通じて供血の本当の意義を理解してくれました。
これらすべての取り組みにより、供血者の数は大きく増加しました。通常は1日あたり約1,200単位の血液しか採血していませんが、パンデミック中には、ある10日間で採血会場に2万人のドナーが来場しました。日によっては2,000単位もの血液を受け取ることがあり、これは通常よりはるかに多い量でした。
2021年、パンデミックの流行が最も激しかった時期でも、私たちは347,130単位の血液を確保しており、当初計画の約98%に達していました。私たちは北部の26の省・市だけでなく、ホーチミン市、カントー市、キエンザン省にも2万単位の血液を供給し、さらに血液不足に直面していたいくつかの中部の省にも提供しました。
パンデミックは大きな被害をもたらしましたが、病院で深刻な血液不足が生じることはなく、NIHBTは全国の輸血活動を調整する役割を果たしました。
COVIDパンデミックにより、供血プロセスにはほかにどのような変化がありましたか?
1つの変化は、ワクチン接種を受けた人が献血可能になるまでに必要な期間を判断しなければならなかったことです。通常は、異常な症状がなければ、ワクチン接種から1週間後には献血できるとしています。また、COVIDから回復した人が献血できるようになるまでにどれくらいの時間が必要かも把握する必要がありました。
さらに、供血後にそのドナーが後になってCOVID陽性と判明した場合をどう扱うかという点も検討事項になりました。以前は、COVIDに感染した人の血液バッグを非常に恐れており、多くを廃棄していました。現在では、SARS-CoV-2は血液を介しては感染しないことが分かっているため、ドナーが陽性と判明した場合でも、その血液製剤を通常どおり患者さんに使用することができます。
将来のパンデミックに備えるうえで、血液バンクにとって役立つ重要な教訓にはどのようなものがありますか?
いくつか挙げることができると思います。第一に、血液が不足している場合には、政治システム全体が情報発信に関わり、血液供給の状況を監視して、その影響の程度を明確にし、すべての人が供血に参加するよう促すことが必要です。
第二に、感染者が一人でも出れば、すべての供血活動が影響を受ける可能性があるため、感染予防のための対策を講じることが極めて重要です。ソーシャルディスタンシング期間中であっても、供血プロセスのなかでCOVIDに感染した事例は一件もありませんでした。
第三に、長期的な供血者管理戦略を構築していく必要があります。例えば、以前は大規模な供血活動を組織していましたが、現在はより人々の生活に近い場所で供血を行っています。
最後に、パンデミック下で供血者が示した献身的な行動を広く伝えることで、供血が状況の改善に大きく貢献していることを示す必要があります。
これは、ベトナムのハノイにある国立血液学・輸血研究所 (NIHBT) の国立血液センター所長、Tran Ngoc Que 博士との 2 部構成の Q&A の第 2 部です。ベトナムにおけるNIHBTと血液供給管理の歴史をたどる第1回の内容は、こちらからご覧いただけます。

