DASAでは、以前からブラジル中央部のアクセス困難な町で運営されていたラボ間取引事業を買収しており、2015年にはこれを機に、この事業の完全自動化と集中化を推進するに至りました。完全自動化と集中化によって、物流業務の再構築と、すべてのラボ顧客に対する検査プロセスの標準化も可能になりました。
ラボは大きく展開していくことで自然に成長していきます。その展開とは、新しい臨床分野やエリアでのサービスの設置や獲得、新しい顧客基盤から生まれてくるものです。ブラジルやインド、中国など多くの国では、交通の便のあまりよくない小都市への投資という意味合いもあります。
本事業に携わる私たちの成長には、プロセスやオペレーションを再評価して、お客さまに最高の価値を提供する姿勢、さらにルーティンの反復といった非効率性を排除する姿勢が不可欠です。
DASAは数年前に受託事業を買収しました: それは2015年のことで、ブラジル中部のアクセスの難しいエリアでの事業でした。この買収をきっかけに事業の完全な自動化と一元化の必要性がはっきりとしたのです。完全自動化と一元化を推進することで、物流業務を再構築し、すべてのお客さまに標準化した検査プロセスを提供できるようになりました。
しかし、5つの中央ラボと5,000以上のラボから検査サービスを提供する事業を、どのようにして中断なしに転換することができたのでしょうか。以前は2,000以上の都市で毎月450万件以上の検査を実施していました。物流チームは295の物流ルートで1日平均105kmの輸送をしていました。
私たちは、中央集中型オペレーションがもたらす長期的な利点が、複雑なプロジェクトの課題とリスクを上回ると判断しました。
事業変革から生じるリスクに挑む理由とは?
ブラジルの大手医療診断サービス企業の1つとして、お客さまに時代を先取りした価値を提供し続けるため、私たちは「イノベーション」する道を選びました。すでにコンシューマー向け診断事業では完全自動化されたシステムを採用していて、そのメリットも把握していました。完全自動化によって生産性を向上させることができ、ラボスペースの削減とワークフローの改善が実現できるのです。
さらに、モジュラー型検査システムを採用することで、完全自動化されたプラットフォームは、事業ニーズに合わせて拡大させることが可能でした。全サンプルを1つの中央ラボで処理することで、サンプルの追跡・性能測定・厳格な品質管理が実現できます。
しかし、お客さまにとっての最重要ポイントは完全自動化による統合が、ターンアラウンドタイム(TAT)の削減と品質の向上をもたらす点です。
導入の課題を克服
受託事業の施設を一カ所に集中させることを決め、他の事業展開を見込んでテストを繰り返しました。きわめて短期間の実装時間を設定し、新しい完全自動化システムのスペースを織り込んだラボラトリー再構に挑みました。詳細な移行プランを立て、他の事業に支障をきたすことなくプロジェクトを遂行できました。
また初期段階から、すでにラボで活動しているチーム、さらにこの新事業をサポートする新入社員にも参加してもらいました。このチームが新しいプロセスや機器、B2B事業独自の課題を理解してもらうように、大規模なトレーニングも実施しています。
新技術導入には常にある種のリスクが伴います。そのため、リスク分担の枠組みを互いに理解するため、検査メーカーと綿密な協議を行いました。そのおかげで新技術を導入する際に生じるリスクをメーカーと共有できました。
しかし、それだけで終わりではありません。目先の事業ニーズの枠を超えて、さまざまなリーン経営的な改善に取り組みました。パフォーマンスをさらに向上させるためです。中央検査室のリーン改善は病院組織のそれほど進んでおらず、これは依然として課題ですが、継続して取り組んでいます。
数字で見る完全自動化のメリット
全自動化の結果を評価したところ、受託検査の処理全体の70%まで統合できたことがわかりました。当社のサービスレベルは70%まで上昇し、処理の遅延率は2%から0.5に削減されました。サービスレベルは15%の向上、生産性は14%のアップとなりました。物流分野のTATもまた10時間の短縮という結果になっています。
総合的に見て完全自動化を導入したことで、DASAは長期的な財務の安定性と、ブラジル市場での高い評価と業界リーダーとしての地位を確保し、お客さまにより質の高いサービスを提供できることになりました。
次の開拓分野 - AIと完全デジタル化
完全デジタル化した診断データセットをお客さまに提供するという「野望」は、完全自動化と共に歩みを進めています。ゲノム解析から臨床イメージングまで、すべての情報は今やデジタル化されています。病院やプライマリケアの医療従事者からの臨床データと組み合わせることで、DASAは予測・予防医学を提供する完全な「ビジネス エコシステム」の実現に着実に進んでいます。
デジタル革命はさらにお客さまの利便性を高めることになります。そのために当社は数多くの実験的プロジェクトに取り組んでいます。こうしたプロジェクトでは患者さんがラボに足を運ぶのは一度だけで、報告と結果はデジタルで送信されるしくみになっています。
人工知能(AI)の力を利用しながら、当社のシステムは機械学習によって強化され、AIを使ったアルゴリズムによって診断に関する知識を蓄積しています。より精度の高い結果が短時間に提供可能になっていきます。
ひとつ言えるのは、まだ旅は始まったばかりだということです。成長にあたってこの変革は受け入れるべき変化であり、ヘルスケア全体が他の一般的な産業に追いつくためにも必要な変化だといえるでしょう。
このプロジェクトを通じて、当社は世界最大の受託検査事業のための統合ラボを作り上げました。けれども私たちは次のステージへと進化するため旅を続けていきます。完全デジタル化による最高レベルのサポートと、付加価値の高い最先端の検査室発の医療を実現していきます。
This article is based on the presentation: Laboratory operations centralisation: challenges & opportunities for a large automation laboratory at the Roche Efficiency Days (RED) 2018 REDefining perspective in Guangzhou, China.

