ネットワーク構築には、同じ専門分野のスペシャリストと同様、異なる分野の知識をもつスタッフとのつながりを広げていくことが大切です。ネットワークがあれば、それらのスペシャリストと難解なケースについて話し合い、今後の検査のために多くのことを学ぶことができます。レアな検査結果や、新しい複雑な問題を解決するうえで、幅広いスペシャリストのネットワークがあれば、新しい技術の学びにつながり、また患者さんが専門的サービスを受けられるよう、他分野の専門家に紹介することもできます。
患者さんや医療現場のお客さまとのネットワークも不可欠です。疑問点・不安・データ・最新技術といったテーマについて、オープンに話し合う場があれば、それは学びの場となります。そのような場にするためには、私たちが忌憚のないフィードバックを受け入れ、科学的・経営的知識や技術の専門知識、さらに患者さんのために高品質のサービスを追求している真摯な検査室であることを発信していくことが大切です。
臨床検査技師が構築できるパートナーシップには、各々のメリットがあります。
同分野パートナーシップ
検査室内のスペシャリストとのパートナーシップは、お互いの検査技術を向上させ、特定のケースに関する疑問を解決することができます。各専門フィールドのスペシャリストと意見交換することで、特殊ケースに遭遇したときも、技術を最大限に活用して解決する方法を見つけられます。またキャリアアップや昇進の機会にもなりえます。
異分野パートナーシップ
臨床医をはじめとする異なる部門のスペシャリストとのネットワークは、検査室と顧客の間のギャップを埋めるのに役立ちます。例えば、Dr. Kasemmongkolの検査室には病理医が常駐し、ラボスタッフ(臨床的な背景や解釈のしかたを解説)と臨床医(医学や検査技術を解説)の2つの役割を果たしています。同様に臨床医や検査室外の専門家との連携は、相互の重要性を理解することになります。個人レベルのネットワークは、臨床検査の価値を再発見することにつながります。
学際的パートナーシップ
多様な分野のスペシャリストとの協力体制は、顧客ニーズに対するインサイトを深めることができます。学際的チームは、検査室が提供するサービスをさらに改善させ、次世代へと進化していく手掛かりになります。多数の病院がこの多職種チームを活用し、Dr Huangのチームもそうであるようにヘルスケア マネジメントの向上に貢献しています。学際的コラボチームは感染症・がん・血液疾患・自己免疫疾患など、複雑あるいは人間同志の交流を伴う検査プロセスが必要な分野で特にその威力を発揮します。さらにラボの専門スタッフと臨床医の双方向コミュニケーションを活発にし、知識とスキルを向上させます。
検査協会や専門機関とのパートナーシップ
専門職間のコミュニケーションを円滑にし、臨床検査の進歩を提唱するグループは、検査室スタッフの教育・キャリアの形成・ラボの成功に貢献する能力を大幅に向上させます。この組織は改善のためのアイデアを提供し、ラボの成長を後押しします。若いスタッフの仕事への情熱を刺激し、ラボの新しい人材の育成にもつながります。
医療業界企業とのパートナーシップ
テクノロジー企業やソフトウェア企業との交流は、品質の高い製品や機器の開発につながります。またラボ側が「このようなニーズがある」「こんな製品が欲しい」という声を業界側に伝えることで、業界のサービス向上や新製品の開発を後押しすることになります。
ネットワークは検査室の価値を高めうるか??
他分野の専門家と交流することで、臨床検査のスペシャリストあるいは一個人として、高品質な医療に従事し、医学に貢献する専門スタッフである自分自身の価値が明確になります。また他の分野の仲間に、検査室スタッフという役割の価値を示し、その声に耳を傾けることの重要性を伝えることができます。
医療の現場や同業の仲間とのパートナーシップを構築しないと、目に見える表面的な要素から、ラボ サイエンティストのイメージが出来上がってしまいます。交流することで私たちは検査室スタッフとしての専門知識を伝達できます。真摯に学ぶ姿・患者さんのアウトカム向上への貢献を伝えていくことで、少しずつ臨床検査の姿がもっと具体的でポジティブなものに変わっていき、同様に他の分野の専門家の知識を得ながら、尊敬と理解の絆ができてくるはずです。
専門家ネットワークを広げるためのヒント:
- 所属する病院の臨床医や管理者による教育セミナーに参加する
- 専門家会議に出席して質疑応答に参加して意見交換、または関連するソーシャルイベントにおいて他の参加者と交流をする
- 各種臨床検査団体のボードメンバーに加入、あるいは同団体のイベント開催を補助する
- 関連する官公庁やNPO等にコンタクト、あるいは会議への積極的な出席と参加
- 学際的チームの構築や、病理医との連携といったアイデアを病院経営陣に具申する
- 臨床医や専門が異なる検査技師との意見交換会
- キャリアに特化したソーシャルメディアサービスを活用して、メンター候補を探す
- 組織内外のプレゼンで質問する、あるいは積極的にプレゼンをする
- 医療業界のパートナー企業をラボに招待して、トレーニングやデモセッションを体験してもらう
- 他施設の臨床医や検査室スタッフを見学・同行して他のラボの活動を知る
まとめ: 検査室にとってネットワーキングが重要な理由
臨床検査技師にとって有用な、さまざまなスペシャリストとの協力体制は、患者さん・臨床医・スタッフにとって大きなメリットがあります。検査室内の関係が円滑になるだけでなく、臨床医・医療業界・他分野の専門家とのつながりを育むことで、ラボの機能は、相互への尊敬・関係性・共に成長する場へと広がっていきます。