ロシュ・ダイアグノスティックスが定期的に実施しているアジア太平洋地域ラボ ベンチマーク サーベイのデータによると、検査ワークフローを自動化しているアジア太平洋地域の臨床検査室は、分析前および分析後プロセスを手作業している検査室と比べて生産性に大幅な改善が見られました。.
本地域を概観すると、先進国の検査室では回答したラボ全体の52.9%、新興国の検査室ではその28.7%が、分析前・後処理システムならびに分析システム間をつなぐ接続モジュールなど、自動化技術を導入しています。(市場セグメント全体の導入率の詳細データは Clinical lab automation systems in Asia Pacific: 2020 adoption rates by country and technology を参照).
より多くの恩恵を受けるのは大規模検査室
2019年の全回答者1150人以上を分析した結果、検査自体の自動化システムを導入した検査室の生産性中央値は、フルタイム従業員(FTE)あたり163検体/日でした。この数値は、自動化していないラボの2倍以上(1 FTEあたり75検体/日)となっています。
1日あたり1000検体以上の処理を行う大規模検査室は自動化の恩恵を享受しており、その生産性の中央値は手作業をメインにしているラボの生産性を36.1%上回っています。
中規模検査室(本記事では1日あたり251~1000検体を処理する検査室と定義)で自動化導入したグループと未導入グループを比較すると、導済検査室の生産性は中央値で20.2%高くなっています。
サーベイに参加した、250検体以下のを扱う小規模検査室は、検査の自動化を導入している実数が少なすぎるため、生産性へのインパクトを比較できませんでした。
サンプル自動分注システムと生産性へのインパクト
サンプル分注の自動化をしていると報告した回答者のうち、大規模検査室では生産性の中央値が23.5%も手作業分注のラボを上回り、大きなプラス効果が出ています。
対照的に中規模検査室でのプラス効果はごくわずかであり、小規模ラボでは分注自体全く行っていない検査室が20%を占めており、自動化サンプル分注導入例はほぼ存在しませんでした。
総合的に見て、検査システムの自動化によって最大の生産性メリットを得ているのは、大規模ラボであることが証明されました。生産性メリット以外にも、実体を捉えにくいメリット(ラボスタッフが重要・複雑な業務に集中することによるヒューマンエラー削減、バイオセーフティ向上、従業員満足度の向上など)もあると考えられています。
他のラボが自動化プロセスやテクノロジーをどのように活用しているかをさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください: Survey & Reports (ベンチマーク サーベイへ)こちらから研究室の規模別・国別・地域別(先進国と新興国)・研究室タイプ別(公立/私立病院vs民間受託ラボ)の業界の貴重なデータを入手できます。調査データを入手済みでしたら、今後もアカウントを定期的にチェックしてください。トレンドの変化に対応した構想を練って、ラボの戦略的決定に役立つデータを入手できます。